酒旅六重奏

日本酒や酒イベント、酒蔵探訪のレビューなど

京都・奈良 日本酒を巡る旅 第2−3日目:清酒の故郷、奈良の寺社編

本記事は2024年6月時点の内容になります

(第1日目はこちらhttps://six-instruments.hatenablog.com/entry/2024/07/24/005840

(第2日目はこちらhttps://six-instruments.hatenablog.com/entry/2024/07/26/205033

 

今回の旅は京都でのんびりするといったな?あれは嘘だ!

 

というわけで

奇しくも某アニメで突然注目度が上がっている奈良へ伏見からさらに南下

桃山御陵駅からは35分程度で近鉄奈良駅に辿り着き

そこから奈良公園に徒歩で向かいます

 

しかのこのこのここしたんたん ではなく、

奈良公園の奥に目的の神社があるのです

 

奈良というと鹿と寺のイメージが強いと思いますが

そもそも京都の前の首都であった場所であり

実は古い神社もたくさんあります

 

春日大社https://www.kasugataisha.or.jp/)はその筆頭で、

奈良時代に時の天皇の命で建てられ、藤原家とも縁がある神社です

そしてこの神社、おそらく創建の頃から祭礼用の神酒を醸す酒殿があり

今でも甕で濁酒をつくっているということです

祭礼用と言うことなので、

恐らく奈良時代の酒造りが保存されてるのではないかと思いますが、

一般に公開されることはないでしょうねぇ・・・

 

お参りの後は流石に日も落ちたので、酒屋で地酒を仕入れた後に夕飯に

なら酒蔵なべhttp://sakaguranabe.jp/nara.html)はなんと、

風の森の酒粕鍋があります

とっても美味しいのです

〆のチーズフォンデュパスタはカロリー爆弾ですが、

酒粕ってこんな風になるんだと感動しますが

量は逆写真詐欺なので、注文にはご注意を!w

 

翌朝は早々にレンタカーを借りてさらに南下し

さらに東に舗装はされてるがちょっと山登りすること30分強

サケラボさんの動画でも登場した清酒発祥の地、いわば酒呑みの聖地

 

正暦寺http://shoryakuji.jp/)に到着です

公共交通機関はまったく通っておらず

レンタカーかタクシーでの来訪を公式に勧めております

 

正暦3年(992年)に一条天皇の勅命を受けて兼俊僧正が創建した寺で、

寺内で拝見した資料によると、ここにも藤原氏の影響があります

元々は100坊を超える広大なお寺だったそうですが、

戦乱やら神仏分離やらなんやらで今はお堂を中心に小さな設備が残るのみです

 

駐車場のすぐ横に

風の森などで見かける菩提酛の酒母を作っているところがありました

菩提酛についてはSake Streetさんの記事が詳しいので興味のある方はご参照ください

https://sakestreet.com/ja/media/interview-with-shoryakuji-about-bodaimoto

 

 

何故このお寺が清酒発祥の地とされているかというと、

今の日本酒の基本形である三段仕込み、諸白造り、加熱処理である火入れを

確立していたからなんですね(https://shoryakuji.jp/sake-birthplace.html

 

元々貴族の保護下にあったこの寺も

室町期には時代の流れで自前で資金を集めなければならなくなり酒を売るようになりました

色々な記録から、高品質な酒を造る寺として有名で、

織田信長徳川家康をもてなした宴にも振る舞われたようですが

腐造を防ぐ酒造りと、火入れ技術のおかげで保存性能が高かったのではないかとも聞きます

 

日本酒業界の方があまり言及しないけど明らかにおかしいのが、この火入れです

ヨーロッパでパスツールがパスチャライゼーションを発明し、

最初にワインに導入したの1866年なんですが

日本では1568年に書かれた多聞院日記の酒造りの記録にすでに記載があります

転生者でもいたんじゃないかwと言いたくなります

ちなみにこの酒造りを復元したのが油長酒造の水端1568ですね

https://www.souta-shoten.com/blog/blog-tenpo/7325

 

何故お寺でこれほど高度なことが?と疑問もわきますが

もともと、お寺というのは渡来人などの中国など海外の知識人がいるところでもあったのですね

藤原家縁の巨大な寺だったので、今でいう大学のような側面もあったのかも知れません

 

 

さて、お酒の話ばかりでしたが、このお堂、小さいもののさすが藤原家縁のお寺です

写真撮影禁止エリアの先にある襖絵や、借景の庭が、

京都でもなかなかない最高レベルです

むしろこれを独り占めできる時間が、プライスレスで、日本庭園好きにもお勧めです

是非時間に余裕を持っておこしください

 

奈良の酒寺社巡りはまだ終わりません

ここからさらに南下します

 

大神神社https://oomiwa.or.jp/

日本最古の神社として有名なここですが

まずご祭神自身農業、工業、商業すべての産業開発、 方除(ほうよけ)、治病、造酒、製薬、禁厭(まじない)、交通、航海、縁結びなど世の中の幸福を増し進めることを計られた人間生活の守護神です

 

 

そして、摂社の活日神社杜氏高橋活日命が祀られております

いったいどんな名杜氏だったんだ?!

 

 

大神神社の参道には三諸杉の直売所があります

お帰りの際は忘れずに

 

レンタカーで奈良にもどり

そこからは観光特急あおによしで京都に戻ります

https://www.kintetsu.co.jp/senden/aoniyoshi/

乗車時間は短いのですが、電車内でタップビールが呑めます!

京都からはそのまま新幹線で帰宅

ゆっくりするはずが、結局いつも通りのハードスケジュールでしたw